花京院の握手会にやばいイケメンが出現した件2

これの続きです
前のを読んでいないと意味が分かりません。
ついでに注意書きも読んできてね…

 
 
 
 
 

【イケメンの】帽子さんヲチスレ17【無駄遣い】
このスレは声優・花京院典明の出るイベントに必ず現れるイケメン通称「帽子さん」を見守るスレです。
ご本人、関係者、荒らしはお帰りください。
※彼は一般人です!迷惑をかけないように!
 
235 名無しのスタンド使い
この前のアイスタのライブで帽子さん観測
 
236 名無しのスタンド使い
花京院歌わないだろ?
 
237 名無しのスタンド使い
オープニングで挨拶してた
 
238 名無しのスタンド使い
そのためだけに行ったのかwww
 
239 名無しのスタンド使い
この前の握手会ではどんなに探してもいなかったからな
 
240 名無しのスタンド使い
あのイベントは花京院来てなかったからな
 
241 名無しのスタンド使い
帽子さん花京院好きすぎィ!
 
242 名無しのスタンド使い
【速報】花京院典明さん
8月から放送予定のアニメ「星屑十字軍」
レギュラー出演決定
 
243 名無しのスタンド使い
おーすげえ!楽しみ
 
244 名無しのスタンド使い
おめでとう8888888
 
245 名無しのスタンド使い
4月のJフェスで放送前イベントが開催される
主要キャストも出るとのこと
 
246 名無しのスタンド使い
帽子さんも来るなwww
 
247 名無しのスタンド使い
帽子さんは主要ゲスト
 
248 名無しのスタンド使い
正直あの人見たいの半分でイベント行ってる
でも見てるだけだよ!
 
249 名無しのスタンド使い
この前帽子さんに二人組の女が声かけてた
 
250 名無しのスタンド使い
うわーそいつら何しにイベント行ってるんだよ
 
251 名無しのスタンド使い
帽子さんどうしたの?
 
252 名無しのスタンド使い
どうもしなかった こんな感じ
 
女1「すいませ~ん」
帽子さん二人を見る
女2「一人ですかあ~?」
女1「お時間ありますか~?」
帽子さん何も答えず無視して去る
 
253 名無しのスタンド使い
帽子さんイケメンだからなあ
 
254 名無しのスタンド使い
声優ヲタだけどな
 
255 名無しのスタンド使い
しかも男のな
 
256 名無しのスタンド使い
イベント物販全部買ってくってほんと?
 
257 名無しのスタンド使い
帽子さんは事務所に貢献するファンの鑑
ちな花京院の出るCDは2枚買ってるのを俺は見た
 
258 名無しのスタンド使い
保存用かwwwww
 
259 名無しのスタンド使い
帽子さん花京院好きすぎィ!

 
 
 

空条承太郎は上機嫌だった。
先週行ってきたアニメアイドルのライブで、司会者に茶化されて照れる花京院が見れたのだ。
レアだ。
可愛かった。
できることなら司会者と代わりたかった。
最初の挨拶で出てくる花京院だけが目当てだったのだが、彼が
「みんな頑張って歌います。聞いてください」
と言ったので最後まで聞いて帰った。
イベントDVDも予約した。
その前の握手会では、花京院に笑顔を向けられて、心臓が跳ねたものだ。
「いつも来てくださいますよね!」
「……覚えていてくれたのか」
「もちろんです!応援ありがとうございます!」
その言葉とともに握られた手は暖かく、承太郎は(いつものことだが)その日一日手を洗わないで過ごした。
生物に触る仕事をしていなければ、今でも洗っていないに違いない。
嬉しすぎて掲示板で報告したら、「アイドルはファンの顔を覚えるのも仕事。お前以外にも同じこと言ってるよ」とレスされたので、「花京院くんはアイドルじゃあねえ。声優だ」と返しておいた。
なお承太郎は花京院以外に興味がないので、花京院ファンの目立つ一般人がどうこうというスレは見ていない。
SNSでもたまにその話題が出るがスルーしている。
だから承太郎は、その日掲示板に書き込まれた内容を知らなかった。

 
 
 

【なぜか】帽子さんヲチスレ21【一般人】
 
623 名無しのスタンド使い
こんなスレあったのか……
帽子さんってもしかして俺の知ってる人かもしれない
 
624 名無しのスタンド使い
>>623
特定クルー??
 
625 名無しのスタンド使い
Kwsk
 
626 名無しのスタンド使い
具体的なことは書かないつもりだけど
俺の知ってる人(以下ヒトデさん)
・身長195センチ
・いつも帽子をかぶっている
・ファンクラブがあるレベルのイケメン
・自分は花京院のファン
 
627 名無しのスタンド使い
でけえwwww
 
628 名無しのスタンド使い
なんでヒトデ?
 
629 名無しのスタンド使い
ファンクラブww一般人だよな?
 
630 名無しのスタンド使い
>>628
ヒトデさんが一番好きな生き物だから
>>629
芸能人じゃないよ
 
631 名無しのスタンド使い
身バレしない程度でいいからもっと詳しく
 
632 名無しのスタンド使い
ヒトデが一番好きとかwwww
 
633 名無しのスタンド使い
ヒトデさんとどういう関係?
 
634 626
>>632
ちなみに俺はイソギンチャクが一番好きだぞ
>>633
上司?とかそういうのに当たる人
 
俺がヒトデさんが花京院ファンなのを知ったエピソード

ヒトデさんは月までぶっ飛ぶイケメンなんだけど、硬派っていうの?
浮いた噂もなくて、プライベートが完全謎な人だったんだよ
それがあるとき突然アニメキャラのキーホルダーとか、
あとクリアファイルとか使うようになって
みんなビビリながらも勇気が出ずに見守ってたんだ
で、ヒトデさんは飲み会とかあんま来ないんだけど、
珍しく来たときに勇者が一人いて聞いたんだよ
「最近アニメのグッズ使ってますよね。好きなんですか?」って
そしたらアニメが好きなんじゃなくて声優が好きなんだって言われた
そして花京院のよさについて語られた
普段すげえ無口だからあんなに喋るヒトデさんは初めてだった
なぜか泣いてる女子がいた
 
635 名無しのスタンド使い
アニメのクリアファイル使うイケメン…
 
636 名無しのスタンド使い
アニメのキーホルダーつけてるイケメン(195センチ)…
 
637 名無しのスタンド使い
でけえよwwww
 
638 626
身長だけじゃなくて筋肉もすげえよ
熊とか素手で倒せそうだもん
 
639 名無しのスタンド使い
イベントで近くで見たことあるけどムッキムキだった
多分そのヒトデさん=帽子さんでFAだと思う
 
640 名無しのスタンド使い
>>626
ヒトデ好きなイケメン以外になんか情報ねえの?
 
641 626
うーん身バレしたくないから…
あ、でも親さんは芸能人っていうかミュージシャンだよ
 
642 名無しのスタンド使い
本人は芸能界入りするつもりないんかな
あんなイケメンなのに
 
643 626
騒がれるの嫌いみたい
バレンタインとか一日中機嫌悪くて怖かった
全部断るって言ってたけどそれでもすごい量もらってた
 
644 名無しのスタンド使い
>>643
何個?
 
645 名無しのスタンド使い
>>644
おいやめろ
 
646 626
>>644
俺らで手作りと市販品に分類した
手作りがポリ袋2つで市販品が1つ
 
647 名無しのスタンド使い
やべえwwww
 
648 名無しのスタンド使い
爆ぜろwwwww爆ぜろ……
 
647 626
俺らももう嫉妬とかする気もおきねえもん
包装破いてない市販のは俺たちで食っていいって言われたのでありがたく食った
 
648 名無しのスタンド使い
>>647
手作りのはだめなの?
 
649 626
>>648
手作りのとか包装破れてるのは中に毛とか爪とか血が入ってることがあるからやめとけって言われた
 
650 名無しのスタンド使い
KOEEEEEEEEEEEEEEEEEE
 
651 名無しのスタンド使い
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
 
652 名無しのスタンド使い
イケメンも苦労してるんだな…
 
653 626
まあでもスレにびっくりして書き込んだだけで俺は多分もう来ないよ
特定されたら俺も嫌だし
 
654 名無しのスタンド使い
>>653
乙ー
 
655 名無しのスタンド使い
>>653
情報ありが㌧
 
656 名無しのスタンド使い
ヒトデが好きって分かっただけで面白かったwwwww

 
 
 

さて承太郎が花京院を応援しながら、充実した日々を送っていた、ある日のことである。
彼はその日、とある商店街を歩いていた。
八百屋や魚屋ではなく、電気屋が並んでいるような商店街である。
こういうところには今までほとんど来たことはなかったのだが、花京院の出ているCDやアニメのグッズやらを揃えるのに都合がいいと知ってからは、休みの日にちょくちょく来ている。
彼が今度レギュラーを務めることになったアニメも、原作漫画を全部買った。
原作は非常に長い漫画で、アニメ化するのはその一部のパートらしいのだが、とりあえず1巻から最新刊まで全部買った。
そのように歴史のある漫画で、花京院の担当するキャラも、過去に何度かフィギュア化されているらしい。
それがもう通常販売していないと知って、承太郎は肩を落としたのだが、この商店街のホビーショップで発見し、大喜びで購入したのである。
一見すると線の細そうなキャラだが、その実とても男らしくて大胆不敵というのが、本物の花京院と重なるところがある。
先日行ってきたアニメ放送前イベントでも、意気込みを語る彼がキラキラしていて大変素晴らしかった。
SNSにももちろん投稿した。
今も、商店街の一角にあるファストフード店で昼食をとったあと、いそいそとスマホを取り出してリプライをチェックしている。
前までガラケーだったのだが、色々と便利なため、花京院ファンになってからスマホに変えたのだ。

 
 
ジョジョ
花京院くん素敵だった~♡
お仕事の時はカッコいい声だけど、本人可愛いよね///
 
花京院様ラブ
@ジョジョ
ジョジョっちも会場にいたんだ~!
あたしも行って来たよ(*´∀`)
花京院様よかった(>∀<) あと例の帽子さんもイケメンだった(笑)   名無美@星屑楽しみ 帽子さん一度は見てみたいww   アプデ待ちA子 @名無美@星屑楽しみ SCアニメの試写会で見たけどマジで顔面やばいよwwwww   名無美@星屑楽しみ @アプデ待ちA子 でも花京院sファンでしょwww同志wwww 一回話してみたいww   アプデ待ちA子 っていうかうちみんなと話したいw オフ会しない???   名無美@星屑楽しみ @アプデ待ちA子 しよしよー!   花京院様ラブ @名無美@星屑楽しみ @アプデ待ちA子 したい(*^^)v     オフ会。 オフ会って何だ。 承太郎はG○ogle先生に聞いてみた。 そして。 たっぷり30分は悩んだ。 花京院ファンの「同志」と、言葉を交わしてみたい気持ちはある。 だが普段のTLを見る限り、彼女らは若い女性だ。 そういう集まりに、自分のような成人男性が赴くのはいかがなものか。     アプデ待ちA子 @ジョジョ ジョジョちゃんは~?来る?   ジョジョ @アプデ待ちA子 わたしはやめとく(;><) 多分みんなびっくりすると思うし…   名無美@星屑楽しみ @ジョジョ えーなにそれwよけい会いたいww   花京院様ラブ @ジョジョ 大丈夫だよ~花京院様好きな仲間じゃん!     仲間……。 承太郎は胸がじーんと暖かくなるのを感じた。 彼は、その顔と頭と腕っ節と、ついでに実家のせいで、今まで友人らしい友人は一人もいなかったのだ。 彼女らは顔も本名も知らない、普段の生活では気が合うとは言いがたい、赤の他人である。 だが、花京院のファンであるという一点において、誰よりも強く繋がっていると思えたのだ。 そんな彼女らの、仲間でいるためには。     ジョジョ やっぱりやめとくよ。ちょっと難しいし   花京院様ラブ @ジョジョ 分かった!でも会えるようになったら言ってね!   アプデ待ちA子 @ジョジョ 会えないの残念>< でもムリしないで~会えるときに会お!(^o^)     承太郎はスマホを仕舞って席を立った。 こんなふうに文字だけだとしても、誰かと軽口を叩くなんてこと、今までなかったことだ。 休みの日に、自分の趣味のために外出することだって。 花京院には感謝してもしきれな………ん? 承太郎は、路地裏の暗がりから何か声が聞こえた気がして足を止めた。 気のせいかとも思ったが、何かが動く気配と、やはり人の声。 やれやれだぜ、と誰にともなく呟いて、承太郎は路地裏へ足を踏み入れた。   そこで繰り広げられていた光景は、「もう飽きたよ」といった感じのものだった。 3人が1人を取り囲んで、何やら要求を通そうとしているようだ。 取り囲んでいる方の1人は、ナイフまで出している。 物騒なことだ。 彼らが、路地裏に踏み込んだ承太郎に気付いた。 「なっ……んだテメー、こいつのダチか!?」 「いや、知らない」 知らないも何も、取り囲まれている方は、大きな帽子とサングラスを身につけており、顔がよく見えないのだが。 「じゃー邪魔すんじゃあねえよ!消えな!」 「でけー図体してんじゃあねえ、邪魔なんだよ!」 「そうだぜ、邪魔すんな!」 承太郎はため息を付いた。 馬鹿の一つ覚えか。 その様子に、3人がびくりと肩を震わせた。 「なんだ、やんのかコラ!」 わめきながらナイフを持った男が向かってきたので、承太郎は仕方なく右手を前につきだした。 「ふげえッ!!」 耳障りな音を立て、路地裏のバケツに男の体がぶつかる。 「て、てめえ!!やりやがったな!!!」 「このやろう!!!」 残りの2人も走ってきたので、承太郎はテンションが下がるのを感じながら、右手を2回動かした。 「ぐえぇッ!!」 「ぎゃふん!!!」 3人共地面に這いつくばって動かなくなったのを確認してから、承太郎は残った1人に声をかけた。 「おい、大丈夫か」 「あ、はい。ありがとうございました」 承太郎は「ん?」と片眉を上げた。 どこかで聞いた声だ。 承太郎が首をひねっていると、サングラスの彼はぼそりと、 「あのくらいなら僕1人でも問題なかったんだが」 と言った。 承太郎は少しだけむっとした。 「その割には全く動けてなかったじゃあねえか」 「……壊したくなかったんです」 何を、と思ってもう一度相手を見ると、彼はその腕に見覚えのある紙袋を下げていた。 承太郎がよく行くホビーショップのものだ。 「フィギュアか。そりゃあ壊したくねえな。無事か?」 承太郎がそう言うと、相手は息を呑んだ。 「どこにもぶつけてないから、大丈夫だと思います。……よくフィギュアだって分かりましたね」 「俺もその店でフィギュアを買ったことがあるからな」 言いながら承太郎は、やはり彼の声には聞き覚えがある、と感じていた。 どこで聞いたのだろう? 毎日のように聞いている気がするが、大学にこんな学生がいただろうか? 「あなたもフィギュアとか買ったりするんですか?そんなリア充そうな見た目なのに。あッていうかそのキーホルダーSCのキャラですね!?ええと…」 「空条承太郎だ」 「空条さん、」 彼はサングラスの顔を上げ、承太郎の顔をはっきり見た。 そして絶句した。 不幸なことに、承太郎はそういう反応には慣れていた。 己の長身を見上げ、それから己の顔に驚く人々。 自分の顔についてどうと思ったことはないが、人がジロジロ見てくるものらしい、というのは分かっている。 「怪我もなくてフィギュアも無事ならよかったな。もうああいうのに絡まれないように気を付けろよ」 承太郎は踵を返、そうとしてコートを引っ張る手に止められた。 「あ、あの、お礼、お礼をさせてください!」 「そう大したことはしてねえ」 「いえ!お茶だけでも奢らせてくださ…ああッフィギュア買ったからお金ないんだった!!」 「じゃあ余計いらねえよ。気にすんな」 「そういうわけにはいきません!あの、連絡先教えてもらってもいいですか!」 これまた不幸なことに、承太郎には連絡先を求められることも頻繁にあることだった。 だが今回は、サングラスの彼の声をどこで聞いたことがあるのかどうしても思い出せなくて、承太郎は名刺を取り出した。 「あっ、名刺、すみません僕、今持ってなくて…」 「いい。学生だろう」 承太郎はふと思いついて、名刺の空白部分にプライベートで使っている電話番号とメールアドレスを書いた。 ちなみに名刺の裏は英語版になっているので使えない。 「電話には出られん可能性があるが、メールなら大丈夫だ」 「ありがとうございます」 そうは言ったものの承太郎は、この彼の声をもっと聞いてみたいから電話がいいと思っている自分に気がついて、首を傾げた。