これの後日談。
前の話から読んでくださいね。
まあタイトルどおりです。
「これで録れているのか?ではゲームを始める」
唐突だなwww
自己紹介しろよwww
お?期待の新星?
「ここに名前を入れるのか」
ゲームの説明はwwww
Flower Heart~花咲く心~
S.P.W.から発売された恋愛ゲーム。いわゆる学園モノ乙女ゲーム。
職人サンクスwww
視聴者のほうが親切とかwwwww
「まあジョジョでいいか」
ジョジョか
主人公女だろ?
うp主のアダ名?
「始まったな。これはオープニングか」
つかこの主声よくね?
思ってたw
イケボww
オープニング飛ばさない派か
飛ばし方知らないんじゃね
「『私はこの学園で唯一の女子学生』……元男子校か?そういうところは女子推薦枠がある場合もあるが」
詳しいwww
乙女ゲームの説明に合理性を求めんなww
男子校いってんの?
「む、何だ……登場人物か。幼なじみ…『これは私の幼なじみで』というのは誰に説明しているんだ?」
お前だよwwwwww
プレイヤーだよwwwwwww
察せよwwww
「ああ、私か。主人公の心情という形で登場人物の紹介をするわけだな」
察したwwwwwww
よかったwwww
つかうp主一人称私なの?
キャラ作りツマンネ
「ふむ……。説明書に載っていたな。攻略可能キャラといって、ゲーム内で恋愛する対象になるキャラクターらしい」
知ってた
知ってた
知ってるよww
主乙女ゲー初めて?
男で乙女ゲーとかまじきもい
「教室に移動したのか。なるほど、背景画像で今いる場所を示しているんだな」
マジで初めてっぽいな
しかしイケボ
「クラスメイトが声をかけてきた……学級委員長か……髪が青いが不良か?」
ゲームの髪の色につっこむなww
眼鏡の委員長キャラに不良とかいうやつwww
このゲーム初見だけどフルボイス?
主人公以外はフルボイスだよ
「次は転校生か。一気にキャラクターが出てくるな。ん?この声は……花京院くんだ」
ちょwwwwwwwwww
花京院くんてwwwwwww
まさかの声優ヲタかwwwww
くんづけキモいです
「よし、攻略可能キャラだな。この少年を恋愛対象にするぞ」
即決wwwwwwww
男のくせに声優目的かよーーーー
つか少年って主何歳だよ
おっさんマジキモイ
確かに若い声じゃないけどおっさんかー
妙に美声のおっさんだな
こういうやつに限って顔はブサイクのキモオタ
そりゃ乙女ゲームするくらいだからキモオタだろ
「隣の席が空いている?先生に言うかどうか……言うに決まっているだろう。これはどうやって『はい』を選ぶんだ?ああ、このキーか」
おい大丈夫かこのうp主
※この動画はゲーム初心者の主の成長を見守る動画です※
「よし、花京院くんと隣になれたぞ」
声優で呼ぶなwww
キャラ名で呼べwww
マジで声優ヲタかよー見るのやめるわ
「花京院くんと隣の席になれたし、今日はここで終わろう。消すぞ」
ちょおおおおおお
セーブwwwww
セーブしてねえwwwwwwww
せーぶううううううううううう
wwwwwwwwwww
これオートセーブ?
いや持ってるけど手動だよ
こいつマジで馬鹿
てか終わりの挨拶なしかよwwww
ジョジョおもしろすぎだろwwwww
次までにセーブ覚えてこいよwwwwwww
「さて、承太郎。この動画の反応を見てどう思った?」
「三つの課題が見つかった。一つ目ははじめと終わりに挨拶を入れること。二つ目は花京院くんではなくキャラクターの名前で呼ぶこと。そして三つ目が、セーブをすることだ」
「……分かりやすいな!学校の先生だもんな!!」
声優・花京院典明(17)は「そういうことじゃあなくて、」と言いながら目の前の美丈夫を見つめた。
恐ろしく顔の整ったこの男の名は空条承太郎。
顔だけではなく頭も体つきもついでに家柄もよく、職業は大学教授、学会でも有名人で、世界的な財団と関係があり、うなるほど金も持っていて、女性にモテまくるのに恋人一筋で、そして声優・花京院の大ファンである。
ちなみにその恋人というのが当の花京院なのだから、この世は不平等もいいところだ。
「僕は実況動画をUPした感想を聞いているんだ」
「なかなか面白い。文字が動いていくのは慣れないが」
「まあ、そこは慣れだね。最初に言っておいた通り、好意的なコメントばかりじゃないけど……」
「ああ。ブサイクと言われたのは生まれて初めてだ」
「だろうね」
花京院が申し訳無さそうな顔をするので、承太郎は首を傾げた。
暴言を吐いたのは花京院ではないし、花京院以外にそんなことを言われても、痛くもかゆくもない。
承太郎は花京院の大ファンであるからして、彼がゲームに出ると聞いた瞬間、発売日に買うことに決めた。
ところがそれを知った花京院が、実況プレイ動画なるものを作ってはどうかと持ちかけてきたのだ。
実況プレイどころか、動画サイトはY○UTUBEしか知らなかった承太郎に、パソコンゲームの録画の仕方や動画の編集、UPの仕方を教えたのは花京院である。
実は重度のゲーマーである花京院は、レースゲームを中心としたアクションゲームのプレイ動画をUPしているのだ。
もちろん声は入れていないが。
彼に手ほどきを受けて作った動画を上げた結果が、冒頭というわけだ。
ちなみに発売直後にUPするのはやめた方がいいと花京院に言われたので、少しの間プレイを我慢しなければならなかった承太郎としては、待ちに待った初プレイなのである。
他のキャラなど眼中になくなってしまうのは仕方ないといえよう。
「まあでも、面白かったのならよかったよ。セーブの仕方を教えてあげるから、続きもぜひプレイして動画にしてください。僕も楽しいから」
「そうなのか」
「動画っていうのは、見るほうも楽しいものなんだよ」
そんなやりとりをしていた承太郎が、理路整然としたトークと美声で徐々に人気を得、「そんなことを言われたら恋に落ちる か も」という台詞でランキング1位を獲得するのは、また別の話。
「花京院、耳が孕むとはどういう意味だ?」
「ええっとね……」