お犬さまと一緒 (2.5)同僚との会話

 
「おはようございます、花京院さん」
「あ、おはようございます。杉本さん」
「最近ご機嫌ですよね?何かいいことあったんですか?」
「そ、そうかな……実は犬を飼い始めたんだ」
「へえー!いいですね、どんな子なんですか?」
「どんな子…大きい、かな」
「私の飼ってる犬も結構大きいんですよ」
「ああ、デスクに写真のある」
「そうですそうです、アーノルドっていうんです。花京院さんのお宅の子はなんて名前なんですか?」
「承太郎だよ」
「ってことは男の子ですね。大きい、ってもう大人なんですか?ちゃんと去勢とかしてます?」
「き・去勢?」
「飼い方にもよりますけど……どこかよそで不幸な子犬作らないためにですよ。完全にペットなら去勢で性格も変わりますし」
「い、いや、その…室内で飼ってるから」
「大型犬なのに?どういう犬種なんです?」
「えっと…雑種なんだ、あんまり外には出たがらない性格なんだよ。室内でおとなしくしてるのが好きみたいで」
「あら、そうなんですか。…ごめんなさい、色々しつこく聞いちゃって。あたし基本的に、人間より犬の方が好きなんです」
「……そうなんだ」
「あ、失礼だったらごめんなさい。今の内緒にしておいてくださいね」
「いや、最近僕もそんなような気がしてきてたんだ」
「じゃあ今日も定時退社ですね」
「そうだね」

 

その日の夕方。
「承太郎、今ネットで調べたんだけど」
「何だ」
「オス犬の発情期って一年中なんだってな」
「…………人間もそうだろうが」