花の種 – 二夜目

 
その夜、いつものように承太郎の腕に絡まって寝入ろうとした花京院は、しかし彼女に振り払われて叶わなかった。
広い寝台にころりと仰向けになった花京院に、覆いかぶさった承太郎から口付けが施される。
彼女の首に腕を回して必死に応えているうちに、もう反応を始めたものを握りこまれ、「ひゃあっ」と声が漏れた。
「悪いが、今日はこっちには用はないぜ。一緒に可愛がってやってもいいがな。どうする?」
「…承太郎の……好きなように…」
完全降服の意を示して、力の抜けた体を差し出すと、満足して承太郎は笑った。

 

太い指が浸入してきたときには苦痛に歪められた花京院の顔が、快楽に蕩けるころには、総排泄孔は潤滑液でぬるついていた。
震える花京院の耳元で、承太郎が低い声で囁く。
「……入るぜ」
頷いて、花京院が脚を投げ出せば、それを肩に抱えて体勢を整えた承太郎が、産卵管を挿入してきた。
「っう、あ、…ぁ、あああっ!」
「っは……随分と慣れたもんだな。一気に入っちまったぜ」
「や、あんっ」
「オラ、動くな!」
声を荒げて、しかしどこか楽しそうに承太郎は、産卵管の動きに合わせて跳ねそうになる花京院の体を、寝台に縫い付けた。
花京院もまた、みだらがましく揺れようとする腰を必死に押さえつけ、承太郎の背中に爪を立てることで衝動に耐えた。
メスの体内で受精し、オスの体内で孵化する卵には、固い殻がない。
そのため、産み付ける際に壊れてしまうリスクが高いのだ。
他のコロニーでは、複数のメスでオスを縛り付けて産み付けるなどという話も聞くが、承太郎はこのときの花京院を、他の誰にも見せるつもりはなかった。
「あっ、あ、あ……」
打ち込まれた産卵管が収縮して、卵が降りてくる。
内部が押し広げられるその感覚に、頭が真っ白になって、花京院は自分が涙しているのにも気付かなかった。
顔を歪めて頭を振りながら、それでも卵を傷つけないように腰を固定したままでいる花京院が、心底愛しくて仕方がなくって、承太郎は彼の顎や額や頬へと滅多やたらに口付けの雨を降らせた。
「出す、ぜ……」
はあ、と、花京院をきつく抱きしめた承太郎が、熱い息を吐いた。
「う、んっ……出し、て…出して、一番、奥ッに!」
甘い悲鳴に強請られたとおり承太郎は、踏み込んだ花京院の育児嚢の最奥へと、彼の種を受精した卵を産み付けた。

 

「俺とお前の子だ。大事に育てろよ」
「……はい」
とろんとした恍惚の表情を浮かべる花京院の、薄かった腹は、今では育児嚢に卵を抱え込んで膨らんでいる。
その腹を撫でてやりながら、承太郎もまた、幸せそうに微笑んだ。