チェリーころころ

リクエストネタ承花SS

花京院の病室に、見舞いとして承太郎がさくらんぼを持ち込んで、それは判明した。
花京院が食べていたさくらんぼを取り落とし、気分が悪いと訴えたのだ。
主な症状は腹痛と吐き気。
すわ腹の傷が開いたのかと慌てた承太郎と、しばらくして回復した花京院に告げられたのは、おそらく延命治療の影響で、花京院がさくらんぼのアレルギーになってしまったということだった。
「え……え?アレルギー?僕が?さくらんぼの?な、なんで」
「具体的な原因は解明されていませんが、他人の血液や臓器などが入ったからではないかと思われます」
「じ、じゃあもしかして、一生」
「その可能性は大いに考えられます」
それを聞いて、花京院の目は絶望の色に染まった。
旅の仲間が死んでしまったと思ったときも、赤ん坊がスタンド使いだと信じてもらえなかったときも、こんな目はしなかった。
まあベクトルが違うのだが。
「花京院」
「承太郎……僕どうしたらいいんだ」
承太郎は花京院にどう声をかけるべきか悩んだ。
敵がいる話なら、それを倒せばいい。
精神的なことなら、いくらでも話を聞くし支えになりたいと思う。
だが、ことはアレルギーである。
さくらんぼの。
承太郎にはどうすることもできない。
「花京院、俺は……」
「分かっている。君が僕の助けになりたいと思っていてくれることは。だけど、どうしようもないことも分かってる。分かってるんだ、でも」
花京院は震える瞳で承太郎を見上げた。
「僕、もうさくらんぼを楽しむことができないのか?あのつやつやした赤い宝石を?舌の上で跳ねる感触を?もうレロレロできないのか……?」
「かきょうい……おい待て、お前、さくらんぼをレロレロしたいだけか?味は?」
「え?もちろん味も好きだよ。甘酸っぱいの。でもどちらかというと、レロレロできなくなる方がつらいかな」
「レロレロするだけで、食わなけりゃいいんじゃねえか?」
「それはさすがにさくらんぼに悪いよ」
「だったら、オメーがレロレロしたさくらんぼを俺が食ってやる。それで勿体無くねえだろ」
「……承太郎、君、天才か?」

そうして花京院は思うままレロレロしまくり、承太郎はそのさくらんぼを片端から食べていった。
とても効率的である。
めでたしめでたし。

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