そこにいたのは、確かに承太郎だった。 だったが、その背は縮み、肩は前より薄くなり、顔にはあどけなさが浮かんでいる。 「なんだこりゃあ!?」 「なぜか君、子供になってしまっているんだよ」 言いながら近付いてきた花京院と並んでみれば、今や二人はほとんど同じくらいの身長になっていた。 「何があったっていうんだ…」 「そうか、きっと地獄への階段だ」 「あ?」 「この間、”城”で地獄への階段に出くわしただろう。そして悲鳴を上げられた。あいつの能力で、経験値を減少させられたんだよ。体が重いって言っていただろ、君、レベルが下がってステータスも減っているんだ。若返っているんだよ」 「……マジか」 だが、それ以外に原因が考えられない。 承太郎が苦い顔をしていると、花京院がその顔を覗きこんできた。 「何だ」 「承太郎、君、天使だな…」 「俺は悪魔だぜ」 「知ってるよ。天使天使天使タイプのモンスターの一種。レベルが上のものに大天使や熾天使などもいる。普通に強い。そのうえ善の属性を持っているせいで、悪属性を持っているモンスターと勝手に殴り合いを始める。モンスターが減るのはありがたいが、メッセージ欄が埋まるのがにくたらしい。が愛らしくてステキなものだなんて幻想も持ってないぞ。ただの比喩だ。かわいいって意味だよ」 「俺がかわいくたって意味ねえだろ」 「とっても意味があるぞ。僕が嬉しい」 「いいからさっさと経験値復活の薬経験値復活の薬その名の通り、経験値減少を治す薬。店で売っている。を買いに行くぜ」 「もったいない」 「冗談じゃあねえ」 渋る花京院を引きずるようにして、二人は寺院に足を運んだ。 ところが。 「経験値復活の薬?残念だが、今は品切れ品切れ店の品揃えは1日で変更される。欲しいものがなかったら、宿屋で時間を飛ばすのも手。だな」 「チッ」 「そっちの、もしかしていつも一緒にいるバルログのお兄さんかい?」 「………そうだ」 「それはそれは!いやあすっかり見違えたなあ」 承太郎は妖精の店主をジロリと睨んだ。 だが、かわいらしい顔でそうしたところで、たいしたダメージにはならなかったらしい。 「ま、明日なら入荷してるかもしれんな。してないかもしれんが。また来てくれよ」 「だってさ、承太郎。仕方ないからその姿でデートしないか?」 「デートぉ?」 承太郎は高い声を上げた。 花京院はくすくす笑って彼の手を取ると、町の中心の噴水噴水モリバントには噴水がある。だから何ってことはまったくないけど、私は好きです。のところまで引っ張っていった。 「いや、さっきの店にはなかったが、他の町の店にはあるかもしれないじゃあないか。それを探しつつ、武器屋とか、他のところにも行こうぜ。久しぶりの地上だ。休暇というやつだ」 「それは悪くないが、この姿でか……」 「だからいいんじゃあないか!」 「ご機嫌だな。てめーまさかショタコンか」 「まさか!」 花京院は大きく口を開けて笑った。 「小さな子どもになんて、一切興味ないよ。どちらかといえば嫌いなくらいだ。君だからに決まってるだろう、いつもカッコいい君の、かわいい姿が見れて楽しいんだよ。さあ、どこから行こうか?」 >>戻る |